日本有数の繁華街である新宿、その絶え間ない賑わいと喧騒の真っ只中にありながら、一歩足を踏み入れるとまるで別世界のような静けさに包まれる花園神社。そこには確かに、他にはない独特で神秘的な雰囲気が漂っています。
そんな花園神社には「怖い」という言説が一部にあるようです。インターネット上の噂や口コミを目にして、実際に足を運ぶのを少し躊躇していませんか。
この記事では、花園神社とは歴史的にどのような由緒を持つ場所なのか、そしてなぜ「怖い」と感じる人がいるのか、その具体的な理由や背景を詳しく解説。
さらに、祀られている御祭神から期待できるご利益、参拝の記念となるおすすめの授与品、境内の見逃せない施設案内、心静かにお参りするための正しい参拝方法、そして迷わずにたどり着ける花園神社への行きかたに至るまで、あなたが抱える疑問や知りたい情報を網羅的にお伝えします。
この記事を最後までお読みいただければ、花園神社が単に「怖い」というイメージだけではない、奥深い歴史と文化、そして多くの人々を惹きつけてやまない本当の魅力にきっと気づいていただけるはずです。
本記事の内容
- 花園神社が「怖い」と言われる理由
- 花園神社に祀られる神様と期待できるご利益
- 参拝の際に手に入れたいおすすめのお守りや御朱印
- 花園神社の境内見どころやアクセス方法、参拝マナー
花園神社が怖いとされる理由とは

花園神社とは

花園神社は、東京都新宿区に鎮座する歴史ある神社。徳川家康が江戸に入った1590年には既に存在していたと伝えられ、新宿の総鎮守として古くから信仰を集めてきました。
もともとは現在の地より約250メートル南にありましたが、寛政年間に現在の場所へ遷座したと言われています。移転先が多くの花が咲き乱れる美しい場所だったことから「花園稲荷神社」と呼ばれるようになったとされます。
その後、明治時代には「稲荷神社」という名称でしたが、大正時代に「花園稲荷神社」に改称。さらに昭和40年(1965年)に末社であった大鳥神社を本殿に合祀した際に、現在の「花園神社」となりました。
新宿の中心部にありながら、境内は緑豊かで落ち着いた雰囲気に包まれており、都会のオアシスとしても親しまれています。
商売繁盛や縁結び、芸能成就など様々なご利益があるとされ、多くの参拝者が訪れます。また、毎年11月の酉の市は大変な賑わいを見せることでもたいへん有名。
御祭神とご利益

花園神社には、複数の神様が祀られており、それぞれ異なるご利益を授けてくださると言われています。
主祭神とそのご利益
花園神社の主祭神は以下の三柱。
- 倉稲魂命(うかのみたまのみこと):農業の神様、お稲荷さんとして広く知られ、五穀豊穣や商売繁盛のご利益があるとされています。食物や生活全般を守護する神様。
- 日本武尊(やまとたけるのみこと):古事記や日本書紀に登場する英雄で、武勇に優れていたことから勝負運、出世開運、厄除けなどのご利益が期待できます。
- 受持神(うけもちのかみ):食物を司る神様であり、倉稲魂命と同様に商売繁盛や仕事運アップ、開運招福のご利益があるとされています。
これらの神様が合祀されているため、花園神社は多岐にわたる願い事にご利益を授けてくださる神社として、多くの人々に信仰されています。
境内社とそのご利益
花園神社の境内には、さらに専門的なご利益を授けてくださる境内社があります。
- 芸能浅間神社(げいのうあさまじんじゃ)
- 御祭神:木花之佐久夜毘売(このはなのさくやひめのみこと)
- ご利益:芸能成就、安産、子授け、火防せなど。特に芸能関係者からの信仰が篤く、多くの有名人の玉垣が奉納されています。
- 御祭神:木花之佐久夜毘売(このはなのさくやひめのみこと)
- 威徳稲荷神社(いとくいなりじんじゃ)
- 御祭神:倉稲魂命(うかのみたまのみこと)
- ご利益:縁結び、夫婦和合、恋愛成就、子授け、家庭円満など。赤い鳥居が連なる姿が印象的で、特に女性からの人気が高いお稲荷様。
- 御祭神:倉稲魂命(うかのみたまのみこと)
これらの境内社にもお参りすることで、より具体的な願いを届けることができるでしょう。
怖いとされる理由その1:雰囲気

花園神社が「怖い」と感じられる理由の一つに、その独特の雰囲気が挙げられます。新宿という日本有数の繁華街、きらびやかなネオンや多くの人々が行き交うエネルギッシュな街の中心にありながら、神社の境内へ一歩足を踏み入れると、そこには驚くほどの静寂が広がっています。
この急激な環境の変化は、訪れる人にまるで異世界に迷い込んだかのような感覚を抱かせることがあります。都会の喧騒から遮断された静けさ、そして木々に囲まれた薄暗がりは、神聖で神秘的な空間を作り出す一方で、人によっては畏怖の念や、どこか近寄りがたい「怖さ」として感じられるのかもしれません。
特に感受性の高い人にとっては、この静けさがかえって不気味に思えたり、何か見えないものの存在を感じさせたりすることもあるようです。
また、境内には古木も多く、昼間でも日の光が届きにくい場所があります。そういった場所が、神秘性を高めると同時に、一部の人には不安感や恐怖心を抱かせる要因となっていると考えられます。
怖いとされる理由その2:伝説

花園神社にまつわる古くからの伝説や逸話も、「怖い」というイメージに繋がっている可能性があります。特に境内にある「穴稲荷(忍岡稲荷)」は、その神秘的な雰囲気から、怖いと感じる人もいるようです。
この穴稲荷は、かつて狐の住処であったとされ、その名の通り洞窟のような空間に祀られています。薄暗くひんやりとした空気感は、確かに日常とは異なる特別な場所であることを感じさせます。
このような場所は、強いパワースポットとされる一方で、その神秘性ゆえに、人によっては近寄りがたい、あるいは不気味な印象を抱くこともあります。
狐にまつわる伝承は日本各地に多く存在し、時には霊的な存在として描かれることも。そうしたイメージが、穴稲荷の独特な雰囲気と相まって、怖いという感覚を呼び起こすのかもしれません。
また、花園神社では古くから見世物小屋が興行されていた歴史もあります。見世物小屋は、その非日常的で時にショッキングな内容から、独特の妖しさやある種の恐怖感を伴う娯楽でした。
このような興行が神社の境内で行われていたという歴史的背景も、花園神社に対してどこかミステリアスで、少し怖いという印象を抱かせる一因になっていると考えられます。
怖いとされる理由その3:夜の顔

夜間に訪れる花園神社の雰囲気も、「怖い」と言われる要因の一つとして考えられます。昼間とは打って変わって、夜の神社は静寂に包まれ、境内を照らすのは灯篭のわずかな光のみとなります。
新宿の繁華街の明るさに慣れている人にとっては、この暗さと静けさが一層際立ち、不気味さや得体の知れない雰囲気を感じさせることがあるでしょう。
薄暗い中で見る鳥居や狛犬、そして特に狛狐の姿は、昼間とは異なる影を帯び、どこかミステリアスな、あるいは威圧的な印象を与えるかもしれません。
特に木々が生い茂る場所や奥まった場所にある社殿などは、夜になると一層暗くなり、何かが出てきそうな雰囲気を感じる人もいるかもしれません。
このような夜の神社の持つ静謐さと暗闇が、神聖さとは別の次元で、人々の心に「怖い」という感情を呼び起こすことがあるのです。
しかし、これは花園神社に限ったことではなく、多くの神社が夜間には同様の雰囲気を持つもの。神聖な場所であるがゆえの静けさと暗さが、かえって人の想像力を掻き立て、恐怖心に繋がる場合があると言えるでしょう。
花園神社は怖いは本当?参拝情報

おすすめの授与品

花園神社では、参拝の証やご利益をいただくためのお守りや御朱印など、様々な授与品を扱っています。
お守り
多種多様な願い事に対応したお守りがあります。代表的なものとしては、以下のようなものが挙げられます。

お守りの種類 | 主なご利益 | 初穂料(目安) |
---|---|---|
錦守 | 身体健全・健康・家内安全など広範囲なご利益 | 500円~ |
縁結び守 | 良縁・恋愛成就 | 500円~ |
商売繁昌守 | 商売繁盛・事業発展 | 1000円~ |
芸道成就守 | 芸能・芸術分野での成功 | 1000円~ |
安産守 | 母子ともに無事な出産 | 1000円~ |
厄除開運守 | 厄除け・運気上昇 | 700円~ |
交通安全守 | 交通安全 | 300円~ |
学業成就守 | 学業向上・合格祈願 | 500円~ |

この他にも、夫婦和合守、融通守、病気平癒守、金運守など、様々な種類のお守りが用意されています。ご自身の願いに合ったものを選んでみてください。
御朱印

花園神社の御朱印は、参拝の証としていただくことができます。力強い墨書と朱色の印が特徴的。初穂料は一般的に300円から500円程度ですが、時期や種類によって異なる場合があります。
御朱印帳も扱っており、オリジナルのデザインのものもありますので、社務所で確認してみるとよいでしょう。季節限定の御朱印が登場することも。
授与品は、神様からのご神徳をいただく大切なもの。感謝の気持ちを込めて、大切に扱いましょう。
施設案内

花園神社は、新宿の中心にありながら広々とした境内を有し、見どころも多くあります。
大鳥居と参道
まず目に入るのは、新宿通りに面した大きな鳥居。ここをくぐり参道を進むと、都会の喧騒が嘘のような静かな空間が広がります。
手水舎(てみずしゃ・ちょうずや)
拝殿にお参りする前に、手と口を清める場所です。正しい作法で身を清めましょう。
拝殿
花園神社の中心となる建物で、こちらで神様にお参りをします。現在の拝殿は昭和40年(1965年)に建てられた鉄筋コンクリート造りのもの。落ち着いた雰囲気の中で、日々の感謝や願い事を伝えましょう。
芸能浅間神社
拝殿の向かって右奥に鎮座しています。木花之佐久夜毘売命を祀り、芸能関係者からの信仰が篤いことで知られています。
多くの芸能人の名前が刻まれた玉垣が奉納されており、その数の多さに驚かされるかもしれません。宇多田ヒカルさんの母、藤圭子さんの歌碑もあります。
威徳稲荷神社
拝殿の向かって左手、芸能浅間神社とは反対側に位置します。朱色の鳥居がトンネルのように連なっているのが特徴的で、フォトジェニックなスポットとしても人気。縁結びや夫婦和合、子授けにご利益があるとされています。
穴稲荷(忍岡稲荷)
威徳稲荷神社のさらに奥、少し分かりにくい場所にありますが、古くから「お穴様」として信仰されてきた場所。岩穴の中に祀られており、独特の雰囲気があります。内部は撮影禁止となっていることが多いので、静かにお参りしましょう。
納め大明神
古いお札やお守りを納める場所です。ただし、花園神社で受けたものに限られる場合があるので、事前に確認するとよいでしょう。
その他
境内には神楽殿や宝物殿、酉の市で有名な熊手を扱う露店が立ち並ぶ広場などもあります。また、二宮金次郎像や、名工・村田整珉による銅製の唐獅子像(新宿区指定有形文化財)など、歴史を感じさせるものも見受けられます。
季節ごとに異なる表情を見せる境内をゆっくりと散策し、花園神社の魅力を感じてみてください。
花園神社の大祓とは

花園神社では、年に二度、「大祓(おおはらえ)」の神事が行われます。大祓とは、私たちが日常生活の中で知らず知らずのうちに犯してしまった罪や過ち、心身の穢れを祓い清めるための大切な神事です。
大祓の時期
- 6月30日:夏越の祓(なごしのはらえ)
- 一年の前半の穢れを祓い、残り半年の無病息災を祈願します。茅(かや)で作られた大きな輪「茅の輪(ちのわ)」をくぐる「茅の輪くぐり」が行われるのが特徴。
- 一年の前半の穢れを祓い、残り半年の無病息災を祈願します。茅(かや)で作られた大きな輪「茅の輪(ちのわ)」をくぐる「茅の輪くぐり」が行われるのが特徴。
- 12月31日:年越の祓(としこしのはらえ)
- 一年間の穢れを祓い清め、新たな気持ちで新年を迎えるための神事です。
参加方法
大祓の神事には、一般の参拝者も参加できる場合があります。
多くの場合、事前に社務所で「人形(ひとがた)」と呼ばれる人の形をした紙を受け取り、それに自分の名前と年齢を書き、身体の調子の悪いところを撫でて息を吹きかけ、穢れを移します。
この人形を神社に納めることで、お祓いを受けることができます。
具体的な参加方法や時間、初穂料などについては、大祓の時期が近づきましたら花園神社の公式サイトやお知らせ、または直接社務所にお問い合わせいただくのが確実。
大祓に参加することで、心身ともにリフレッシュし、清々しい気持ちで日々を過ごすことができるでしょう。
花園神社の参拝方法

神社を参拝する際には、神様に対して敬意を払い、正しい作法とマナーを守ることが大切です。花園神社を訪れる際も、以下の点を心に留めておきましょう。
鳥居をくぐる前に
- 鳥居は神域への入り口。くぐる前に軽く一礼しましょう。
- 参道の中央は「正中(せいちゅう)」といい、神様の通り道とされています。中央を避け、左右どちらかの端を歩くように心がけます。
手水舎での作法
- 右手で柄杓(ひしゃく)を取り、水を汲みます。
- まず左手を清めます。
- 柄杓を左手に持ち替え、右手を清めます。
- 再び柄杓を右手に持ち替え、左の手のひらに水を受け、その水で口をすすぎます。(柄杓に直接口をつけないように注意しましょう)
- 静かに口をすすぎ終えたら、もう一度左手を清めます。
- 最後に、柄杓を立てて残った水で柄杓の柄を洗い流し、元の場所に戻します。
拝殿での参拝作法(二拝二拍手一拝)
- 賽銭箱の前に進み、静かにお賽銭を入れます。お賽銭は神様への感謝の気持ちを表すもの。
- 鈴があれば鳴らします。鈴の音には邪気を祓う意味があるとされています。
- 二回深くお辞儀をします(二拝)。
- 胸の高さで両手を合わせ、右手を少し下にずらして二回拍手を打ちます(二拍手)。拍手は神様への感謝や祈りを込めて行います。
- 拍手を終えたら、ずらした右手を元に戻し、両手を合わせて心を込めて祈ります。
- 最後に、もう一度深くお辞儀をします(一拝)。
参拝時の注意点
- 境内では静粛にし、大声で騒いだり走り回ったりしないようにしましょう。
- 写真撮影は、他の参拝者の迷惑にならないように配慮し、撮影が禁止されている場所では行わないでください。特にご祈祷中や神職の方、本殿内部の撮影は控えましょう。
- 露出の多い服装や派手な服装は避け、神様に失礼のないように心がけます。
- ペットを連れての参拝は、神社の指示に従ってください。許可されている場合でも、リードをつけ、他の参拝者に迷惑をかけないように注意が必要です。
これらのマナーを守り、清々しい気持ちで参拝しましょう。
花園神社への行きかた

花園神社は新宿の中心部に位置し、アクセスが非常に便利です。
電車でのアクセス
- 東京メトロ 丸ノ内線・副都心線、都営新宿線「新宿三丁目駅」:E2出口から徒歩0分。駅の出口を出てすぐ目の前です。
- JR各線、小田急線、京王線「新宿駅」:東口から徒歩約7分。
- 京成線「京成上野駅」:こちらは上野公園内にある別の「花園稲荷神社」の最寄り駅ですので、お間違えのないようご注意ください。新宿の花園神社へは、上記の新宿駅または新宿三丁目駅をご利用ください。
バスでのアクセス
- 都営バス「新宿三丁目」バス停または「新宿伊勢丹前」バス停下車、徒歩約3分。
車でのアクセス
- 首都高速4号新宿線「新宿出入口」から約5分。
- ただし、花園神社には参拝者用の駐車場は基本的にありません。周辺のコインパーキングなどを利用することになりますが、新宿という場所柄、駐車料金が高めであったり、満車であったりすることも多いです。公共交通機関の利用をおすすめします。
酉の市などの催事の際には大変混雑し、交通規制が行われる場合もありますので、事前に情報を確認しておくと安心です。
まとめ:花園神社は怖い場所なのか
- 花園神社は新宿の総鎮守として古くから信仰される由緒正しい神社である
- 倉稲魂命、日本武尊、受持神を主祭神とし、商売繁盛や勝負運など多様なご利益が期待できる
- 境内社の芸能浅間神社は芸能成就、威徳稲荷神社は縁結びのご利益で知られる
- 「怖い」と感じる要因として、繁華街とのギャップが生む静寂な雰囲気がある
- 穴稲荷などの神秘的な場所や、狐にまつわる伝説もイメージに影響している可能性がある
- 夜間は灯りが少なく静まり返るため、昼間とは異なる印象を受けることがある
- お守りは種類が豊富で、特に「白羽の矢」は強い願いを持つ人に人気だ
- 御朱印も人気があり、参拝の記念として集める人も多い
- 境内には拝殿のほか、芸能浅間神社、威徳稲荷神社など見どころが多い
- 年に二度、罪穢れを祓う大祓式が行われる
- 参拝時は手水舎で身を清め、二拝二拍手一拝の作法でお参りする
- アクセスは新宿三丁目駅E2出口からすぐと非常に便利である
- 酉の市は毎年多くの人で賑わう一大イベントだ
- 怖いというイメージは一部の側面であり、実際には多くの参拝者に愛されるパワースポット
- 神聖な場所としての静けさや神秘性が、誤解を生んでいる可能性も考慮すべき
花園神社は、怖いどころか、多くのご利益を授けてくださる神様が祀られ、歴史と文化が息づく魅力的な場所。新宿を訪れた際にはぜひ一度足を運び、その神聖な空気を感じてみてください。





