東京十社の一つにも数えられる品川神社。由緒正しい神社であるにも関わらず、一部には怖いという噂もあるようです。そんな噂を耳にして、参拝をためらってはいないでしょうか。
品川神社が怖いと言われるのにはいくつかの理由がありますが、実はそれ以上に多くの魅力とご利益を秘めた、歴史あるパワースポットなのです。
この記事では、まず品川神社とはどのような神社なのか、そして怖いとされる理由を一つひとつ丁寧に解説。あわせて、祀られている御祭神とご利益、参拝の記念にいただきたいおすすめの授与品、さらには迷わず現地へ向かうためのアクセス方法まで、あなたの疑問や不安を解消する情報を網羅的にお届けします。
この記事を読み終える頃には、「怖い」という印象が、きっと深い興味と関心に変わっていることでしょう。訪問の際の参考にしていただければ幸いです。
本記事の内容
- 品川神社が「怖い」と言われる理由
- 祀られている神様と金運などのご利益
- 双龍鳥居や富士塚といった境内の見どころ
- 正しい参拝方法やアクセスに関する実践的な情報
品川神社が怖いと言われる理由

品川神社とは

品川神社は、東京都品川区北品川に鎮座する、長い歴史と高い格式を誇る由緒ある神社。その創始は、今から800年以上前の平安時代末期、文治3年(1187年)にまで遡ります。
鎌倉幕府を開いた源頼朝が、海上交通の安全と自身の祈願成就を願い、安房国(現在の千葉県館山市)にあった洲崎神社の御祭神・天比理乃咩命(あめのひりのめのみこと)をこの地にお迎えしたのが始まりと伝えられています。
時代が下り江戸時代に入ると、徳川将軍家の厚い庇護を受け、特に関ヶ原の戦いに臨む徳川家康が戦勝祈願をしたことでも知られています。その祈願が成就した御礼として、仮面や神輿(みこし)が奉納されました。これらの逸話からも、古くから重要な祈願の場所であったことがうかがえます。
明治時代に入ると、明治天皇が新しい首都・東京の鎮護と万民の平安を祈るため、都内の10の神社を「准勅祭社(じゅんちょくさいしゃ=天皇を鎮護する神社)」に制定。品川神社は、この栄えある「東京十社」の一つに選ばれています。これは、都内でも特に格式の高い神社であることを示すものです。
また、品川神社は七福神めぐりの一つである「東海七福神」の一社でもあり、大黒天を祀っています。このように、歴史の重要な局面で役割を担い、多くの人々の信仰を集めてきた、東京を代表する神社の一つなのです。
怖いとされる理由:独特の雰囲気

品川神社が怖いと言われる理由は、境内にある末社「阿那稲荷神社(あないなりじんじゃ)」の、特に下社周辺が持つ独特の雰囲気にあります。阿那稲荷神社は上社と下社に分かれており、参拝者はまず上社に参り、その後、朱色の鳥居が連なる石段を下って下社へと向かいます。
この下社には「狐穴(きつねあな)」と呼ばれる祠(ほこら)があり、薄暗い洞窟のような空間に、数多くの狐の像が静かに祀られています。この光景が、一部の参拝者にとって神秘的であると同時に、どこか近寄りがたい、畏怖の念を抱かせる雰囲気を持っているのです。
穴がどこまで続いているのかは謎に包まれており、古くは富士山や江の島の岩屋まで続いているという伝説も残されています。こうした背景が、単なる怖さとは異なる、神聖さと表裏一体の畏怖の感情を生み出しているのでしょう。
日中でも少しひんやりとした空気が漂い、静寂に包まれているため、その場の気に敏感な人や、暗い場所が苦手な人にとっては「怖い」と感じてしまう一因になっていると考えられます。
しかし、ここは金運向上の強力なパワースポット「一粒萬倍の泉」がある場所でもあり、多くの参拝者が篤い信仰を寄せています。
怖いとされる理由:富士塚の存在

二つ目の理由は、精神的なものや雰囲気ではなく、物理的な恐怖感に起因します。品川神社の境内には「品川富士」と呼ばれる、富士山を模して造られた大きな富士塚が存在します。これは、江戸時代に盛んだった富士信仰に基づき、実際に富士山に登ることが難しい人々でも、登拝すれば同等のご利益を得られるようにと築かれたもの。
この品川富士は高さ約15メートルと都内最大級の規模を誇り、非常に本格的な登山が体験できます。しかし、その本格的であるがゆえの構造が「怖い」と感じられる大きな要因となっています。
特に五合目から山頂にかけての道は非常に急勾配で、足場も溶岩で固められているため狭く、歩きやすいとは言えません。安全のために設置されている手すりは、一般的な柵ではなく鎖であり、これを頼りに登り降りする必要があります。
さらに、山頂からの眺めは素晴らしいものの、周囲に高い囲いがなく開放的であるため、高所が苦手な人にとっては足がすくむような恐怖を感じることがあります。下りの際は特に、急な斜面を前にして最初の一歩を踏み出すのが怖いと感じる参拝者も少なくありません。
このようなスリリングな体験が、「品川神社は怖い」という印象につながっている側面があるようです。参拝の際は、動きやすい服装と滑りにくい靴を選ぶことが大切です。
怖いとされる理由:口コミ

品川神社が怖いと言われる理由の三つ目に、一部の参拝者から寄せられた神職や社務所の対応に関する厳しい口コミが挙げられます。インターネット上のレビューサイトや個人のブログなどでは、「高圧的な態度だった」「御朱印をお願いした際に厳しい口調で注意された」といった声が散見されます。
具体的には、「御朱印帳はカバーを外し、書き入れてほしいページを開いてから出すように」という指示が強い口調であったり、参拝者への言葉遣いが丁寧ではなかったりした、という体験談が報告されているようです。
中には、神職の方から「うちは神社なのでサービス業とは違う」という趣旨の発言をされたという記述もあり、こうした経験が参拝者の心に残り、「怖い」という印象につながってしまったものと考えられます。
ただ、これらの口コミはあくまで個人の感想であり、全ての参拝者が同じ経験をするわけではありません。参拝した時期や時間帯、対応した職員によって状況は変わる可能性がありますし、一方で、親切で丁寧な対応だったという声も存在します。
神社という神聖な場所であるからこその厳格さや、古くからの慣習を重んじる姿勢が、人によっては「厳しい」「怖い」と捉えられてしまうのかもしれません。いずれにしても、このような声があることは、参拝前に心に留めておくと、過度に驚かずに済むかもしれません。
御祭神とご利益

品川神社には、それぞれ異なるご神徳を持つ三柱の神様が主祭神として祀られており、それらが合わさることで多様なご利益を授けてくれます。
天比理乃咩命(あめのひりのめのみこと)
前述の通り、源頼朝によって最初に祀られた神様。天太玉命(あめのふとだまのみこと)という、天岩戸神話にも登場する重要な神様の后神(妻)とされています。
創始の由来から、海上交通の安全や、心に抱いた願いを叶える「祈願成就」の神様として篤く信仰されています。人生の大きな目標がある時や、旅立ちの安全を願う際に、力強い後押しをいただけるでしょう。
宇賀之売命(うがのめのみこと)
一般的には「お稲荷様」として広く親しまれている神様です。元々は五穀豊穣を司る農業の神様ですが、時代と共に商業や産業の神様としても信仰されるようになりました。
品川神社が金運アップのパワースポットとして有名なのは、この宇賀之売命の「商売繁昌」「産業繁栄」のご神徳によるところが大きいと考えられます。
素盞嗚尊(すさのおのみこと)
日本神話において、八岐大蛇(やまたのおろち)を退治した英雄として知られる、力強い神様です。その荒々しいほどの力強さから、風水害や疫病といった災厄から人々を守る「厄除け」の神様として信仰されています。
人生における様々な困難や災いを祓い、力強く守護してくださるご利益があります。
これらのご神徳が合わさることで、品川神社は金運向上や商売繁昌はもちろんのこと、祈願成就、航海安全、厄除け、病気平癒など、人々の幅広い願い事に応えてくれる強力なパワースポットとして、今日まで多くの信仰を集めているのです。
品川神社は怖い?:見どころと参拝方法

龍との関係性とは

品川神社は、御祭神として直接龍神を祀っているわけではありませんが、古くから龍と非常に深い縁を持つ神社として知られています。その最も象徴的な存在が、境内入口の石段を上がる手前にある「双龍鳥居」。
この鳥居は、向かって左の柱に天に勢いよく昇る「昇り龍」、右の柱に天から慈悲の心で降りてくる「降り龍」が、見事な彫刻で表現されています。
この二匹の龍は、仏教における「上求菩提(じょうぐぼだい、悟りを求めて修行に励むこと)」と「下化衆生(げけしゅじょう、人々を救い導くこと)」の教えを表しているとも言われます。
このような双龍が彫られた鳥居は非常に珍しく、力強い運気をいただけると信じられています。この鳥居は、杉並区の高円寺と馬橋稲荷神社にあるものと合わせて「東京三鳥居」と称される、大変貴重なもの。
また、品川の地には古くから龍にまつわる伝説が残っています。江戸時代、品川沖に棲む龍が、毎夜六本木にある天祖神社(龍土神明宮)へ灯明を献上するために通っていたという話です。このことから、品川の地は龍にとって聖なる通り道、あるいは住まう場所であったと考えられます。
直接的ではないものの、こうした伝説や双龍鳥居の存在が、品川神社と龍との特別な関係性を物語っており、金運や開運を願う人々を強く惹きつけているのです。
おすすめの授与品

品川神社では、参拝の記念や神様からのご利益を身近に感じるためのお守りや御朱印を授与しています。訪れた際には、ぜひ社務所に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
御朱印
品川神社の御朱印は、社務所にて手書きでいただくことができます。中央に「品川神社」の朱印が押された、格式高いデザイン。
正月期間などには「東海七福神」の大黒天様が描かれた限定の御朱印が頒布されることもあり、こちらも人気を集めています。初穂料は公式サイトによると500円とされています。
一粒守(ひとつぶまもり)

金運アップのご利益で名高い「一粒萬倍の泉」にちなんだ、品川神社を代表するお守りの一つ。「一粒の願いが万倍にもなって叶いますように」との願いが込められており、金運だけでなく、あらゆる願い事に対する開運のご利益が期待できます。
指先ほどの小さなサイズで、色もピンクや紺など複数あるため、持ち歩きやすく、特に女性からの人気が高いお守りです。
ぶじかえる守

境内の富士塚の麓にある、ユーモラスな「ぶじかえる」の石像にちなんだお守りです。「富士」と「かえる」をかけて「無事帰る」という語呂合わせから、交通安全や旅行安全のご利益があるとされています。
旅行や出張に出かける前の方はもちろん、日々の通勤・通学の安全を願う方にもおすすめ。
これらの授与品は、本殿に向かって左手にある社務所で受けることができます。受付時間は午前9時から午後5時までとなっていますが、祭事などで変更になる場合もあるため、訪れる際は公式サイトで最新の情報を確認するとより確実です。
東京十社巡りとは

東京十社巡りとは、東京都内にある特に格式の高い10の神社を巡拝すること。
この10社は、もともと明治元年(1868年)に、明治天皇が新しい首都となった東京の鎮護と国民の平和を祈願するために、勅使を遣わして幣帛(へいはく、神様への捧げ物)を奉納された「准勅祭社(じゅんちょくさいしゃ)」が元になっています。
品川神社は、この大変栄えある東京十社の一つに数えられています。他の9社は以下の通り、いずれも都内を代表する有名な神社ばかりです。
神社名 | 所在地 |
根津神社 | 文京区 |
芝大神宮 | 港区 |
神田神社(神田明神) | 千代田区 |
日枝神社 | 千代田区 |
亀戸天神社 | 江東区 |
富岡八幡宮 | 江東区 |
王子神社 | 北区 |
赤坂氷川神社 | 港区 |
白山神社 | 文京区 |
昭和50年(1975年)に、昭和天皇の御即位50年を記念して、この10社を巡る「東京十社巡り」が企画されました。各神社では、巡拝専用の御朱印帳や、それぞれの神社の特色を表した小さな絵馬が用意されており、スタンプラリーのように楽しみながら巡ることができます。
東京の歴史や文化に深く触れながら、格式ある神社からのご神徳をいただくことができるため、御朱印集めが好きな方や、都内のパワースポットをじっくりと巡りたい方にとって、非常に魅力的な企画と言えるでしょう。
品川神社の参拝方法

品川神社を参拝する際は、一般的な作法を基本としつつ、境内に点在するパワースポットならではのポイントを押さえておくと、より深く神様とのご縁を結び、ご利益をいただけると考えられます。
基本的な参拝の流れ
- 双龍鳥居をくぐる: 境内に入る前にまず一礼し、神域に入らせていただく気持ちを表します。
- 手水舎で清める: 参道を進み、手水舎で手と口をすすぎ、心身の穢れを清めます。手水舎にいるカッパの像もユニークな見どころの一つ。
- 拝殿で参拝: 石段を上りきり、拝殿の前に進みます。お賽銭を静かに入れ、鈴を鳴らした後、「二拝二拍手一拝」の作法で神様に日頃の感謝と祈りを捧げます。
特別なパワースポットでの作法
- 一粒萬倍の泉: 金運アップを願う際は、まず拝殿の右手にある阿那稲荷神社の上社に参拝します。その後、朱色の鳥居が連なる階段を下りて下社へ向かいます。
下社にある「一粒萬倍の泉」の霊水で、持参したお金(硬貨や紙幣)や大切な印鑑などを、備え付けのザルに入れて洗い清めます。この清めたお金は、すぐに使うか、お財布に入れて「種銭」として大切に持ち歩くと、万倍になって返ってくると言われています。 - 品川富士: 富士塚に登拝する際は、動きやすい服装と滑りにくい靴が必須。特に下りは急で危険を伴うため、足元に十分注意してください。登山口にある猿田彦神社に旅の安全を祈願してから登り始めると良いでしょう。
- 七つ鳥居めぐり: 境内には全部で7つの石の鳥居があり、これらを全てくぐると中風除け(現代でいう脳卒中などの予防)や無病息災のご利益があると言われています。時間に余裕があれば、全ての鳥居を探して巡ってみるのも一興です。
これらのポイントを意識して丁寧に参拝することで、品川神社の持つ豊かなパワーをより一層感じることができるかもしれません。
品川神社への行きかた

品川神社は都心にありながら、最寄り駅から非常に近く、アクセスしやすい場所に位置しています。初めての方でも迷わずたどり着けるでしょう。
交通手段 | 最寄り駅・ルート | 所要時間 | 備考 |
電車 | 京浜急行本線「新馬場駅」北口 | 徒歩約1分 | 最も便利で推奨されるルートです。改札を出ると目の前に神社の入口が見えます。 |
徒歩 | JR各線・京浜急行本線「品川駅」高輪口 | 徒歩約15分 | 散策を楽しみながら向かうことも可能です。旧東海道の雰囲気を味わえます。 |
バス | JR「大井町駅」から東急バス(渋41、品94)「新馬場駅前」下車 | 徒歩約3分 | 大井町方面からのアクセスに便利です。 |
車 | 境内駐車場あり | – | 駐車スペースは神楽殿の前に4〜5台分と非常に限られています。満車の場合、近隣のコインパーキングを利用する必要があります。 |
最もおすすめなのは、京浜急行を利用する方法です。「新馬場駅」の北口改札を出ると、国道15号(第一京浜)を挟んで目の前に品川神社の大きな鳥居が見えるため、迷うことはまずありません。
車で訪れることも可能ですが、前述の通り駐車場は大変狭くなっています。特に土日祝日や祭事、七五三のシーズンなどは大変混雑するため、公共交通機関の利用を強くおすすめします。
もし車で向かう場合は、周辺のコインパーキングの場所も事前にいくつか調べておくと、当日慌てずに済むでしょう。
まとめ:品川神社は怖い?
この記事では、「品川神社は怖い」という噂の真相から、神社の歴史、ご利益、そして数々の見どころまでを詳しく解説してきました。最後に、この記事の重要なポイントを箇条書きでまとめます。
- 品川神社が怖いと言われる主な理由は主に3つ
- 一つ目は一部の神職の対応に関する厳しい口コミからくる印象
- 二つ目は境内末社である阿那稲荷神社の狐穴が持つ神秘的で畏怖を感じさせる雰囲気
- 三つ目は品川富士の急勾配という物理的なスリルや危険性
- しかし、これらは品川神社の持つ多様な魅力の一側面に過ぎない
- 品川神社は平安時代に源頼朝が創建した、800年以上の歴史と格式ある神社である
- 明治天皇によって定められた東京の守護神「東京十社」の一つに数えられる
- 御祭神は三柱おり、金運向上、商売繁昌、厄除け、病気平癒など多様なご利益がある
- 特に金運アップのパワースポットとして都内でも非常に有名だ
- 境内には強力な龍のパワーを宿すといわれる「双龍鳥居」がある
- 霊水でお金を洗うと万倍になると伝わる「一粒萬倍の泉」は必見のパワースポットである
- 都内最大級の富士塚「品川富士」では、本格的な登拝体験ができる
- 品川の地は龍の伝説が残り、龍神様と縁の深い土地でもある
- 金運の「一粒守」や交通安全の「ぶじかえる守」など、魅力的な授与品も人気
- 最寄り駅の京急新馬場駅から徒歩1分とアクセスも抜群に良い
- 「怖い」という一面的な噂だけで判断せず、ぜひ一度ご自身の足で訪れてほしい





